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Concert Report



2019 セイジ・オザワ 松本フェスティバル
オーケストラ コンサート “ピーターと狼”


会場:まつもと市民芸術館・主ホール
2019年9月1日








今年の2019 セイジ・オザワ 松本フェスティバル(以下、OMF)では通常のオーケストラコンサートのほかに、プロコフィエフの音楽物語 “ピーターと狼”が公演された。スクリーンに映し出される映像と日本語による解りやすい語りとともにオーケストラを楽しめる趣向で、小さい子供と一緒に鑑賞する家族も多く見られていた。

第1部はモーツァルト歌劇「フィガロの結婚」の序曲からスタート。楽し気なリズムにのって軽やかなオーケストラサウンドが心地よく響き渡る。この日の指揮者はサイトウ・キネン・オーケストラ(以下、SKO)のホルン奏者でもあるラデク・バボラーク。無駄のない的確な指揮ぶりで自然な流れを作っていく。メンバーたちと一体となって息の合ったパフォーマンスを見せていた。

2曲目はバルトーク「ルーマニア民族舞曲」。エキゾチックなメロディーを奏でる弦の響きを堪能した「棒踊り」、柔らかなクラリネットの音色に導かれてオーケストラが歌った「腰帯踊り」、アップテンポに乗って勢いよく駆け抜けた「速い踊り」まで、曲ごとに様々な表情を見せる民族色豊かな音楽を楽しんだ。

第1部のラストはラベル「マ・メール・ロワ」。柔らかな木管の導かれて透き通るようなヴァイオリンが会場全体に広がった「眠りの森野美女のパヴァーヌ」、ゆったりとした摩訶不思議な雰囲気やコケティッシュな中国人形の動きが目に浮かぶような「バゴダの女王レドロネット」(中国製の首振り陶器人形の物語)、繊細で美しいオーケストラサウンドに包まれた「妖精の森」と、ラベルならではのファンタジーな世界観を堪能した。

そして第2部はいよいよ “ピーターと狼”(ロシア民話をもとにプロコフィエフ自身が台本を書き、ナレーター付きの「子供のための交響的物語」として作曲)。ムロツヨシがステージに登場し、ユーモアたっぷりに観客に語りかける。

スクリーンに映像が映し出され、物語に登場する動物が楽器の音色とともに動き出すと、小さな子供たちももう夢中。降矢ななの描く絵はとても暖かみにあふれ、透明感のある色彩が美しい。映像を観ているだけでも魅了される。

ドラマティックな展開に見入ったり。ムロのコミカルな動きや語りに笑いが溢れたりと、ピーターや小鳥、アヒル、猫、狼と大人たち、個性豊かな登場人物(動物)による物語を、時に繊細で、時に迫力に満ちたオーケストラサウンドとともに楽しんだ。

この日、9月1日は小澤征爾総監督の84歳の誕生日。最後に小澤氏に向けて会場全体でハッピーバースデーを歌い、公演は締めくくられた。

同様のプログラムは長野県内中学校1年生を対象にした教育プログラムとしても公演された。(*)教育プログラムでは第1部にもメンバーによる曲目解説などが入り、アットホームで楽しいコンサートとなった。公演を鑑賞した子供たちからは「楽しかった」「感動した」といった声が聞かれていた。

* 8月30日、9月2日、各日2回公演。招待された長野県内の中学校1年生、計4181名が参加

 

 
曲目

第1部
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」K. 492 より 序曲
ベーラ・バルトーク ルーマニア民族舞曲 BB 76

I. 棒踊り
II. 腰帯踊り
III. 足踏み踊り
IV. アルプホルンの踊り
V. ルーマニアのポルカ
VI. 速い踊り


モーリス・ラヴェル 組曲「マ・メール・ロワ」

I. 眠れる森の美女のパヴァーヌ
II. 親指小僧
III. パゴダの女王レドロネット
IV. 美女と野獣の対話
V. 妖精の園


第2部
セルゲイ・プロコフィエフ 子供のための音楽物語 “ピーターと狼” Op. 67(日本語上演)

語り:ムロツヨシ
絵:降矢 なな

演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ オーケストラ出演者一覧
指揮:ラデク・バボラーク


レポート:Asako Matsuzaka
撮影: Michiharu Okubo, Takeshi Yamada, Global Artist Network


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