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Artist Press Vol. 11> Feature: Robben Ford


ロベン・フォード インタビュー
ライブレポート
Robben Ford Live at Motion Blue yokohama


ロベン・フォード インタヴュー

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最高のグルーヴと洗練されたブルース・フィーリング。

コンテンポラリーな世界をクリエイトしつづけるロベン・フォードが自ら語る、ブルース・ギターの真実。






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Robben Ford Official Site: http://www.robbenford.com/

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ツアー
アルバム「blue moon」
ビート -良いギタリストはドラマーと同じ位置にいる
ブルースとは感情そのもの
楽器と音色 -全身全霊を捧げ、最大限集中すること
メッセージ・・・平和





ツアー

Robben Ford(R):
OK! (日本語で)いきましょうか?(笑)

Q: どこで日本語を覚えたのですか?

R :
もうずいぶん日本に来ているから、少しはわかるようになってきたんだ。

Q: でも、とても流暢ですね。今回のツアーの感触はいかがですか?

R:
そうですね、最初のツアー先であった福岡、そして大阪と、昔からの友達と自分のバンドで一緒にプレイできることをとてもうれしく思っています。



アルバム「blue moon」

Q:
今回のツアーメンバーは、全員、これまでのあなたのアルバムのレコーディングメンバーということもあって、とても楽しみにしています。まず、アルバム「blue moon」についてうかがいます。いままでもブルースフィーリングにあふれた素晴らしいアルバムを出していらっしゃいますが、今回のアルバム聴いたときに、とてもパワフルで演奏に勢いを感じました。今回のアルバムのコンセプト、思い入れなどを聞かせてください。

R:
ここ最近の2つのアルバムで言うと、「Tiger Walk」 は全てインストゥルメンタル、そして「Supernatural」にはさまざまなスタイルの曲が入っていました。そうしたバラエティも良いのですが、今回は、もとブルース色の強いものにしようと思ったんです。それだけなんだよなあ(笑)。

Q:
全曲にブルースを感じるというか、アルバム全体がブルースで統一されたように感じますが、その中で各曲がその中でとても新鮮な雰囲気を持って面白く展開しているように思います。

R:
そういうことなんだよね!

Q:
あなたの楽曲には、新鮮なブルースフィーリングを感じますが、曲をアレンジする時のアイデアはどこから得るのですか?

R:
ええと…難しい質問だな。(笑) あんまり、そういうことは考えないんだけど…
たとえばカバー曲をやろうとしたとき、元の曲と同じようにもなるし、違うようにもなる。つまり、なにか曲についてインスパイアされるものがあればそれにしたがってやる、ということだし、あるいは元の曲と同じようにやろうとしたときに、一緒に共演するミュージシャンたちが自然な感じで別なものを加えていくということもある。要するに一緒にプレイするミュージシャンとの信頼の上に曲が出来あがるということですね。

Q:
「blue moon」の中でご自分にとって特に印象深い曲はありますか?

R:
Willie Dickson の曲で "It Don't Make Sense" が良い出来ですね。これは特別に良く出来たと思うし、ユニークな個性を出せたと思います。"Good to Love"も気に入っています。これは自分としてもちょっと変わった感じになっていると思います。昔風の2ビートで。 歌詞も自然に出来た感じで、個人的な物語風になっているんだよね。これは本当にうまくいったと思います。時には作曲がうまくいっても他がうまくいかないこともあるんだけど、こうやって良い曲が書けると、とてもうれしいものですね。「本当に良い曲ができた」と言いきれる時は本当に嬉しい。なかなか出来ませんが。(笑)



ビート 〜良いギタリストはドラマーと同じ位置にいる〜

Q:
今、ビートというお話がでましたが、あなたの曲や演奏には、とてもよいグルーヴを感じます。例えば古いブルースのようなものでも・・・

R:
50年代のシカゴブルースのような感じで、リトル・ウォルターや ハウリン・ウルフ、 マディ・ウォーターズなどが好きで、カバーするときは、その辺りから探してくることが多いですね。もちろん昔のBBキングも・・・

Q:
あなたのバンドはとてもグルーヴを感じますが、グループを引き出すポイントとは?

R:
そう、それがこのバンドの良いところなんだな。(笑)
それで、レコードを参考として聴いて、そしてみんなで話し合って、変えたほうが良いところがあれば変えもするし、つまり、あとは演奏しながら何が一番いいか、皆で見つけていくという感じですね。


Q:
あなたのリズムカッティングは絶妙だと思いますが、リズムに対するこだわりはありますか?

R:
それはありがとう。主に繰り返しなんですが、良いギタープレイヤーというのは、ドラマーと同じ位置にいると考えたほうがいいと思うんです。とはいっても、ビートだけではなくて、和音があるわけです。それからコードをつなぐためのつなぎをいれたり、ちょっとしたテーマやメロディーを入れたりしてゆく。つまり、リズムとコードとメロディが積み重なって出来上がっていくという感じです。

Q:
とても解りやすく教えていただいて、どうもありがとうございます。
あなたの音楽はベースにブルースがあると言われていますが・・・

R:
そうさ!


ブルースとは感情そのもの

Q:
あなたにとってブルースという音楽はどういった存在ですか?

R:
ブルースというのは、とにかく感情そのものですよね。 だから私にとっては、良い音楽だったらどんな音楽にもブルースがあると思える、たとえばインドの音楽だって。今日は日本の歌舞伎を見てきたんですが、私にはその音楽にもブルースが聴こえた。クラシックにだってブルースを感じることもあるし・・・。

Q:
感情を表現する手段がブルースということなんですね?

R:
まったくその通り!

Q:
ボーカルでもギターでも、あなたが演奏しているときに考えることはなんですか

R
大体において、気が散らないように、集中するようにしている。リラックスしていられればそれだけ、オーディエンスと精神的なつながりを持てると思いますね。一番重要なのは、ステージで何が起こっているか、バンドのメンバー間で何がおこっているかということですね。バンドがうまくいっていて、必要なときに必要なことをしてくれる状態になっていれば、僕としてはリラックスして、気持ちを開いていけるんだけど、それが、グループの中でうまくいっていないと、もうそっちに気をとられて、自分自身、うまく演奏ができなかったりもするんです。


楽器と音色 〜全身全霊を捧げ、最大限、集中すること〜

Q:
ギターの音色について、少し伺いたいのですが?あなたの音色はとても伸びやかで、クリアで抜けもよく、一音のなかでいろいろ表現できるように感じるのですが、いったいどうやるんですか?

R:
他の人のやっていることをよく聴くということがまず一つ、尊敬するミュージシャンのことを自分の中でよく消化して、あと良い楽器を使うことも重要です。そして自分に何が合うのかを見極めることが大切です。自分以外のことに余り目を向けすぎないほうがいいんじゃないですか?よい音を得るためには。自分の出せる音というのは、自分の中にあるので、それを見つけること。そうすれば、「波に向かって叫ぶ」みたいにプレイできるね。「波に向かって叫ぶ」というのは、ハワイに住んでいる日本人ミュージシャンが「禅ギター」という本を書いていて、その中の表現として、「波が轟音を上げているところへ叫んだときに、波の音にかき消されずに自分の声をとどかせることができる」ということを言っています。武道の中でカツを入れる、というようなことにも通じるかもしれないですね。とにかくもう、全身全霊をささげること、最大限、集中すること、です。


Q:
とても良いお話ですね。

R:
そうですね。

Q:
ちょっとスピリチュアルな感じになってきましたね。

R:
だいたいそうなるものだね

Q:
ところで今日使われてる機材は?

R:
ダンブルのアンプと、ベイカーのギター、ジーン・ベイカーが今のロベン・フォード・モデルを作ってるんだ。それに1960年のフェンダー・テレキャスター、アーニーボーのボリュームペダルとダンロップのワウワウペダル、それからTCエレクトロニクスの2290、これはディレイ用のラック、それだけ。



メッセージ・・・平和

Q:それではあと2つだけ質問してもいいですか?

R:
あと「ふたつ」、だね。(日本語が聞き取れた様子)

Q:
あなたの記憶にある一番古い音はなんですか?

R:
2つ思いついたんだけど、まずマイルスデイビスのトランペットがあります。ただこれはそんなに古い話じゃなくて、、、以外に難しいねえ、あと銃声も忘れられません。誰かが缶を撃って練習していたんだけど、すごい音で、耳に突き刺さるようだった。銃声って聞いた事ある? その時以来、銃は嫌いですね。

Q:
それはいくつの時ですか?

R:
そう、12歳くらいだったかな。


Q:最後にファンの皆さんへのメッセージをいただけますか?

R:
おお、メッセージね、ついに来たか!(笑)なにを言ったらいいかよく分らないんだけど…「平和」。僕としてはそんなところかな。

Q:
今の時代では、とても大事なメッセージですね。今日は本当にどうもありがとうございました。


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コンサート前の慌しい中、インタビューのためのお時間をとっていただきましたが、どのような質問にも、本当に丁寧にお答えいただき、誠実なお人柄に感銘をうけました。「全身全霊をささげること、最大限、集中すること」この言葉は、まさにロベン・フォードさんの音楽に対する姿勢そのものだと感じました。(2003.4.12 Motion Blue yokohama にて)
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インタビュー:Asako Matsuzaka
撮影:Asako Matsuzaka
通訳・取材サポート:Tatsuro Ueda
取材協力:
Motion Blue yokohama

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