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Concert Report


セイジ・オザワ 松本フェスティバル30周年記念 特別公演


会場:キッセイ文化ホール
2022年11月25日

セイジ・オザワ 松本フェスティバル オフィシャルサイト


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セイジ・オザワ 松本フェスティバル30周年記念 特別講演が11月25日、26日の2日間に渡って行われた。筆者が聴きに行ったのは初日のキッセイ文化ホールでの公演。


小澤征爾総監督の後を引き継いでボストン交響楽団の音楽監督を務めているアンドリス・ネルソンスとサイトウ・キネン・オーケストラ(以後、SKO)との初共演、そして曲目がマーラーの交響曲9番ということで、期待に胸を膨らませながらホールへと向かった。

第1楽章。柔らかなホルンの音色が印象的な序奏でスタートし、ヴァイオリンが優美なメロディーを奏でる。深く響くコントラバスの低音が心地よい。その低音がゆったりとしたグルーヴ(うねり)を作り出していく。


突然、鳴り響くティンパニーによって平和な雰囲気が搔き消され、オーケストラサウンドは鋭く、激しさを増していく。再びゆったりとしたテンポに戻る時には、どこか落ち着かないような、不穏な空気をまとっている。場面ごとに表情を変えながら曲が進んで行き、SKOならではの豊かな表現力を感じた。


指揮のネルソンスは、この壮大な楽曲を実に丁寧に、緻密に構築していき、メルソンスとSKOならではの、繊細さとダイナミックさを併せもったマーラーを作り上げていた。

おどけたようなリズムに乗って踊る管弦の音色を楽しんだ第2楽章のあとは、アップテンポの第3楽章へと続いていく。ノリの良いテンポの中で、鋭く煌びやかに鳴り響く金管が印象的。そして場面が変わり、ゆったり滔々と奏でる美しいヴァイオリンとの対比も素晴らしい。


この壮大な楽曲の真骨頂とも言える第4楽章。冒頭、美しさの中に強靭さを秘めた弦の音色に心を奪われる。正にこれぞSKOとも言うべき、深く広がる弦のハーモニーを存分に堪能した。

次第にオーケストラ全体がエネルギーを増し、激しく鳴り響いたあと、一転して静寂に包まれ、「無音の間」が訪れる。水をうったような静けさの中で滔々と歌われるメロディーは得も言われぬ美しさだった。



一瞬の間をおいて、会場は割れんばかりの拍手に包まれ、アンコールでは小澤総監督が登場。大きな感動に包まれた会場ではいつまでも拍手が鳴りやまなかった。


 

【プログラム】

マーラー:交響曲第9番 ニ長調

Ⅰ. アンダンテ・コモド
Ⅱ. 緩やかなレントラー風のテンポで、いくぶん歩くように、そして、きわめて粗野に
Ⅲ. 「ロンド=ブルレスケ」アレグロ・アッサイ きわめて反抗的に
Ⅳ. アダージョ。非常にゆっくりと、抑えて

演奏 サイトウ・キネン・オーケストラ
[オーケストラ出演者一覧]

指揮:アンドリス・ネルソンス


レポート:Asako Matsuzaka
撮影: Michiharu Okubo, Takeshi Yamada


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