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Concert Report: 2014 SAITO KINEN FESTIVAL MATSUMOTO / Orchestra Concert


CONCERT REPORT


2014 サイトウ・キネン・フェスティバル松本
オーケストラ・コンサート
2014年9月2日
2nd September 2014


Official Site: www.saito-kinen.com

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サイトウ・キネン・フェスティバル松本・・・今年もこの会場に足を踏み入れることができた。昨年、復帰を果たした小澤征爾が今年はベルリオーズの幻想交響曲を振る。「どんなすごいことになるんだろう」・・・観客が期待を込めて見守るなか、演奏がスタートした。


第1部は、12本の管とコントラバスによるモーツアルトの「グラン・パルティータ」(通常は13本の管楽器で演奏される)、磨き抜かれた管の音色をコントラバスが心地よく支える。見事なバランス、見事なアンサンブルを堪能した。



そして第2部、幻想交響曲。いまさら言うまでもないことだが、小澤征爾という人は本当に凄い。彼がステージに現れた瞬間、空気が変わる。そしていつも音楽を表現するためのすさまじいまでの集中力に圧倒される。一音一音に対する執念のようなものを感じる。しかし、この日は少し違う印象を受けた。独特の空気感、緊張感、そして当然、「集中」はあるのだが、それよりも自然な一体感をより感じた。なんというか、小澤が「ぐいっ」と引っ張るのではなく、ほんの少しの指の動きにオーケストラがナチュラルに反応して自然に音が奏でられているのだ。


めまぐるしく気分が変わる1楽章「夢-情熱」。恋にとらわれた芸術家の不安や高揚感が、あまりにも自然に、ストレートに伝わってくる。心地よいワルツにのってストリングスが優美に響き渡った2楽章「舞踏会」、牧歌的なオーボエの音色と奥深い不安を感じさせるストリングスサウンドとの対比を堪能した3楽章「野の風景」。そしてクライマックス、全てを圧倒するような4楽章「断頭台への行進」から狂乱と混沌の5楽章「魔女の夜会の夢」へ・・・時に激しく、時にスリリングに、ドラマティックに展開していく凝縮されたオーケストラサウンドに深い感動を覚えた。


拍手は鳴りやまず、オーケストラメンバーと小澤も、何度もアンコールで登場したが、この日は特別に素敵な瞬間があった。前日、誕生日であった小澤征爾に、オーケストラメンバーが「Happy Birthday To You」をプレゼントしたのである。ステージ上も客席も、すべてが一体となった素晴らしい演奏会であった。





プログラム)

モーツァルト:セレナード第10番 変ロ長調 K361 (370a) 《グラン・パルティータ》
ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14


演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:小澤 征爾(ベルリオーズ) ※モーツァルトは指揮者なし



レポート:松坂 麻子
撮影:大窪 道治


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