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LIVE REPORT "Tokyo Jazz 2005"

Tokyo Jazz 2005 Day 1  〜Latin Lounge
Tokyo Jazz 2005 Day 2 〜 Club "Jazzin"〜



Tokyo Jazz 2005 Day 1  〜Latin Lounge〜

August 20 2005 - Day & Night Time, at Big Site

TOKYO JAZZ 2005 Official Site: http://www.tokyo-jazz.com/

ハービー・ハンコック・パブリックインタビュー & "TOKYO JAZZ 2005 フォトギャラリー"準備中!





















OPENING ACT: HIBI★Chazz-K


上妻 宏光 東京JAZZスペシャルユニット K
Jazztronik+Special guest Sandii
MATERIAL featuring Nils Petter Molvaer
Ivan Lins

Charito Latin Jazz Funk Band
Herbie Hancock's Headhunters '05

SUPER UNIT 〜Latin Lounge〜



- Day Time -
Opening Act: HIBI★Chazz-K


工事作業服にヘルメットとういでたちで会場後方から登場、ステージに上がる。ホーン4人とドラムスという編成はマーチングバンドを思わせる。それもそのはずドラマーはマーチングバンド用のドラムキットを肩から吊り下げている。ステージ上ではカホン(スペインの箱型パーカッション)もたたいて音幅を拡げていた。女性テナー奏者の赤い作業着が文字通りの紅一点。演奏はというと、奇抜ないでたちにもかかわらず、手馴れた感じのなかなかスイングしたもので、会場も昼一のためかまばらな入場状態であったが居合わせた人たちは盛んに拍手を送っていた。

Musicians:
ひび則彦 (ss/arr)、横山 知子 (as)、筒井 洋一 (ts)、小仲井 紀彦 (bs)、浜野 律哉 (perc)

<Set List>

M-1 キャラバンの到着
M-2 スターダスト
M-3 ザ・サイド・ワインダー
M-4 マイ・フェイバリット・シングス


- Day Time -
上妻 宏光 東京JAZZスペシャルユニット


各セットのオープニングを告げるエレクトロニクスのエフェクトに続いて大太鼓の打音が轟き、「Overture」の幕開けを告げる。4人のホーン、ベース、ドラムス、キーボード、そして和太鼓、ステージ左右に和装の三味線奏者を配し、中央に洋装の上妻が三味線をストラップで肩から提げたという編成である。津軽三味線の骨太でパーカッシヴな音にホーンアンサンブルが絡んでくるというのはなかなかにスリリングで新鮮だ。

続いてはジャズメドレーで、ロドリーゴの名曲「アランフェス協奏曲」に導かれてチックコリアの「スペイン」から始まる。こういった曲で三味線を使っても違和感がないばかりかルーツに立ち返ったような気にさせられるのは、おそらく曲のアラブ的部分が中東の楽器、たとえばサズやウードを想起させるからであり、その音色と三味線とが近似しているからだろう。そうした意味ではいかに三味線の個性を出すかが課題となるわけだが、その点、上妻の津軽節は原曲に強烈なコントラストを持ち込んでいる。日本民謡の細かく上下する節回しがイベリアともアラブとも、またアフリカン・アメリカンとも違った個性をもって曲をリードする様は小気味良い。続けてリズムはミッドテンポに変わり、スタンダードなジャズ・スウィングで「シュガー」、「インプレッションズ」へと移る。そして左右の三味線が加わったジャミングを聴かせる。このあたり、民衆芸能たる津軽三味線のジャミング的要素が上手く組み合わさって楽しい。この日、コンダクターも勤めた笹路 正徳はさすが、見事なキーボードプレイを聞かせた。

続いては上妻のオリジナル曲「宴:東京ジャズバージョン」で聴かせるが、さすがに三味の特性をよく生かしたハード・フュージョン曲である。

最後は「あいやの組曲」と題する民謡メドレーで、二人の歌い手が加わって「津軽あいや節」を皮切りに古典的な導入を見せるが、合間に入る三味線は非常に現代的な感覚をうかがわせる。ゆったりとした「佐渡おけさ」がホーンとともに歌われた後、祭囃子の太鼓に乗って「牛深ハイヤ節」が登場する。ホーンが加わるとなにやら和風ファンクのようにも聞こえ、民謡もどうしてなかなか捨てたものではないと感心させられることしきりであった。

Musicians:
上妻 宏光 (三味線)、笹路 正徳 (p)、村田 陽一 (tb)、篠崎 卓美 (b.tb)、菅坂 雅彦 (tp)、竹野 昌邦 (sax)、則竹 裕之 (ds)、バカボン鈴木 (e.b)、響 道宴 (和太鼓)、横川 裕子 (vo)、福士 あきみ (vo)、西 元 (三味線)、小山 豊(三味線)

<Set List>

M-1 Overture
1)オープニング太鼓
2)リズム&ハーモニー
3)三味線三重奏
4)津軽よされ節

M-2 JAZZメドレー
1)アランフェス〜スペイン
2)シュガー
3)インプレッションズ

M-3 宴:東京ジャズバージョン

M-4 民謡メドレー:あいやの組曲
1)津軽あいや節
2)佐渡おけさ
3)牛深ハイヤ節


- Day Time -
Jazztronik+Special guest Sandii



ピアノの静かなリフが流れたかと思うといきなりドラムスとベースのハードなビートが繰り出されて「Samurai」が始まる。これだけで"ただものではない"と感じさせられる。メンバーはそれぞれに手練の"つわものたち"なのだからそれもそのはずである。ヒューバート・ローズばりのフルートといい、音色やフレージングがヤン・アッカーマンを想起させるギターといい、実に格好良い。

続く「An Occasional Man」はスペシャルゲストのサンディーを迎えてのラテン風の軽快な曲。次はスローなバラード「Midnight at the Oasis」で、ベースとギターはアコースティックに持ち替えている。サンディーのくだけたヴォーカルの色気が良い。続いてはサンディーの昔の曲「Calling You」。キーボーディストによる新しいアレンジで聞かせる。村上のシャープなベース・リフが心地よい。フルートのソロも秀逸だ。

最後の曲は「Rita」。ドラムスとパーカッションのフリーフォームな展開で始まり、次第に各楽器が絡んでくるところはスリルとスピードにあふれている。いくらかラテン風な感じで、ところどころデオダートを思わせるところもあり、ワウを効かせたギターソロなどの多彩な味付けで楽しませる。終盤のサックスとギターの掛け合いは特筆に価する。

Musicians:
野崎 良太(Jazztronik)(kb)、Sandii (vo)、大槻カルタ英宣 (ds)、中里 たかし (perc)、村上 聖 (b)、姫野 朋久 (f/sax)、西山 史翁(g)

<Set List>

M-1 Samurai
M-2 An Occasional Man w/ Sandii
M-3 Midnight at the Oasis w/ Sandii
M-4 Calling You w/ Sandii
M-5 RITA



- Day Time -
MATERIAL featuring Nils Petter Molvaer


1曲目の「White Lotus」の非常にソフトな音色のトランペットが一日の始まりを告げるかのように響く。曲は「Black Lotus」へと続き、キーボードとパーカッションが加わり、ドラムスが入ると一気にヒートアップするが、これはあくまでもフリーフォームなサウンドスケープというべきものである。ビル・ラズウェルが登場し、これ以上にな無いようなへヴィーなベースが加わった時点でドラムスがビートを刻みだし、ベースのうねるようなリフに乗せてトランペットがディレイなどのエフェクターを使い分けながら走り回る。

3曲目の「Mbamusso」ではフォデイ・ムサ・スーソーの奏でるコラの美しい音色が響き、会場の拍手を誘う。パーカッションとの絡みがしばし続いた後、スーソーのボーカルに導かれてリズム隊が疾走を始め、「Jarabi Jeh」へとつながる。スーソーの故郷、西アフリカのガンビアのダンスビートだろうか、弾むリズムとコラのアンサンブルが痛快である。次の「Niaje Maje」もコラとヴォーカルで始まる。ミッドテンポのバラード風な曲調は途中でダブ調に展開する。トランペットはコーラスをかけ、またフェーズシフトも使っているようで、アンビエントなサウンド・スケープを作っている。

続く「Mantra」ではベースのビル・ラズウェルがステージを降り、コラが物悲しげなメロディーのリフを奏で、そしてトランペットがその上でソロを取る。全体にコラとパーカッションのリフがヒプノティックに繰り返される曲で、トランス・ナンバーとでもいうべきか。

次の「Nanfuleh」はキーボードのドローンにトランペットがブレスを混ぜた音をかぶせ、嵐の予兆でもあるかのような雰囲気を醸し出す。次第にコーラスとワウをかけた音やストレートな音を取り混ぜて音幅を増し、クライマックスへ向かう気配を見せる。ベースが地を這うような唸りを上げるとダークな熱がステージからじわじわと会場へ押し寄せてくるかの様だ。ところが一転してコラが明るい音色でソロを奏で始める。ヴォーカルを取りながらのソロは牧歌的な平和さを感じさせ、暑い穴倉から這い出したような爽快感ににやりとさせられる。曲はソロのリフのままドラムスとベースを巻き込み、へヴィーなリズミカルさを加え、さらにトランペットのサウンド・スケープ的なリードを織り交ぜ、そしてポスト・ロックを想起させるファズ・ベースと共にクライマックスへと突き進み、コラとヴォーカルの牧歌的エンディングへと展開して終わる。これはやはりビル・ラズウェル率いるところの曲者でなければ成し得ない妙技であるといえよう。

Musicians:
ニルス・ペッター・モルヴェル (tp)、フォデイ・ムサ・スーソー (cora)、ビル・ラズウェル (b)、ハミード・ドレイク (ds)、アベガス・シオタ (kb)、アイーブ・ダーイング (perc)

<Set List>

M-1 White Lotus
M-2 Black Lotus
M-3 Mbamusso
M-4 Jarabi Jeh
M-5 Niaje Maje
M-6 Mantra
M-7 Nanfuleh




- Day Time -
Ivan Lins

ブラジリアン・コンテンポラリー・ミュージック(MPB)の立役者、イヴァン・リンスのステージである。会場にはファンが多いと見えてステージにメンバーが登場する前から拍手が鳴り始め、そしてバンドのイントロに乗ってイヴァン・リンスが登場すると再び大きな拍手が沸き起こる。イヴァンは会場に向かって合掌しお辞儀をするとステージ中央のキーボードを弾きながら一曲目の「Lua Aoberana」を歌いだす。中盤のパーカッション&コーラスのパートになると既に会場はMPBの世界にすっかり包まれてしまっている。曲はキーボーディストの達者なシンセサイザーソロをフィーチャーしたのち、エンディングへと向かう。

続く曲「Arlequim」はデイヴ・グルーシン&リー・リトナーがイヴァンと制作した83年のヒット・アルバム「ハーレクイン」のタイトル曲として有名であるが、実はイヴァン・リンスの書いた原曲は政治的色彩の強いプロテスト・ソングなのである。しかし明快なメロディーと劇的な展開は曲そのものの魅力たっぷりで、イヴァンの代表曲の一つとして申し分ない名曲である。今回の演奏は原曲よりもリラックスしたアレンジで聞かせてくれた。レオナルド・アムエドの流麗なギターソロはパット・メセニーにも引けを取らないものである。

「Comecar De Novo」も数多くのミュージシャンにカバーされたイヴァンの名曲の一つである。ゼー・カルロスの奏でるアコースティック・ギターでリラックスしたムードで始まり、ベースはアップライトのエレクトリック・アコースティックに持ち替えての演奏である。そしてイヴァンのピアノと口笛のユニゾンをブリッジにして「Lembra De Mim」へつなげるが、この曲の中盤でのゼー・カルロスのアコースティック・ギター・ソロは実に秀逸だ。

次はやはりグルーシン/リトナーの同アルバムからの曲「Dos Temporais Depois」。スローなバラードでいかにもイヴァンらしいメロディーが心地よい。ここで聞かれるレオナルド・アムエドのソロはもう見事と言う他ない。

かつてのブラジルの独裁政権に向けたプロテストソング「Rei Do Carnaval」。だが曲調はというと、歌のテーマとは裏腹にアップテンポな明るいフュージョンといった趣である。その辺のギャップがイヴァンのエンターテイナーたる所以なのだろう。中盤ではイヴァンのピアノソロを聴くことができ、ファンには嬉しい一曲となった。

続いてはアントニオ・カルロス・ジョビンに捧げた「Rio De Maio」。故郷の町を歌ったスローなバラードで、情感たっぷりに歌い上げる。次の 「Samba Do Aviao」はジョビンの曲で、いかにもジョビンらしい雰囲気の曲だ。「リオ・デ・ジャネイロ、リオ・デ・ジャネイロ」と歌うコーラスが楽しい。エレクトリック・ピアノとボーカルのユニゾンも面白く、そして続くレオナルド・アムエドのソロが絶品である。間を置かずに続けて「E De Deus」へ。軽快なサンバである。ここではゼー・カルロスがカヴァキーニョのきらびやかな音色を聞かせてくれた。やがて会場もコーラスに参加して大合唱となり、リンス得意のトロンボーンの口真似が飛び出し、そのままエンディングへと進んでいった。次はリンスのピアノで始まる軽快なダンスナンバー。そしてメンバー紹介の後、「Dinorah,Dinorah」へ。いわずと知れたダンサブルなミッドテンポのサンバでマルコ・ブリートのオルガンソロが格好良い。このクールなサンバ・フュージョンの感覚はMPBの旗手、イヴァン・リンスならではのものだろう。

Musicians:
イヴァン・リンス (vo/kb)、マルコ・ブリート (kb)、ネマ・アントゥネス(b)、ゼー・カルロス (g)、レオナルド・アムエド (g)、ピルリート (perc)、テオ・リマ (ds)

<Set List>
M-1 Lua Aoberana
M-2 Arlequim
M-3 Comecar De Novo
M-4 Lembra De Mim
M-5 Dos Temporais Depois
M-6 Rei Do Carnaval
M-7 Rio De Maio
M-8 Samba Do Aviao
M-9 E De Deus
M-10 Desesprar
M-11 Dinorah, Dinorah



- Night Time -
Charito Latin Jazz Funk Band


エレクトリック・ピアノのイントロに導かれてチャリートがステージへ登場。一曲目の「Come Fly」はミディアムテンポの小洒落た曲だ。トランペットとエレクトリック・ピアノのソロをフィーチャーしながら進んでゆく。チャリートのボーカルはキャリアを感じさせる安定感あるものだ。

メンバー紹介に続いてエレクトリック・ピアノとパーカッションのリードで始まる「How High The Moon」。小気味良いソロの取り回しでエレクトリック・ピアノ、トランペットと進めてゆき、チャリートの力強いボーカルでしめる。次の「So In Love」はアコースティック・ピアノの美しいソロで始まる。延びのあるウッド・ベースが足場を固め、ドラムスとパーカッションが軽やかなリズムを刻む上を滑らかに歌い上げるボーカルはすばらしい。

チャリートは実はイヴァンリンスの大ファンなのだそうで、続いての曲はリンスの曲「He Walks This Earth」。ベースの巧みなソロで始まるのだが、これは実に特筆すべきソロであった。そしてシンセサイザーに乗せてソプラノサックスのソロ、これもインスピレーション豊かなもの。チャリートのボーカルは明るい歌声でファンキーなアレンジによくマッチしている。終盤のソプラノサックス・ソロも熱気を感じさせて格好良い。

ここでスーパー・スペシャル・ゲストのイヴァン・リンスが登場する。こういった演出はフェスティバル・イベントならではのものだ。曲は「Acaso」、まずはリンスがボーカルをとり、そしてチャリートのパートへ移るとリンス十八番のマウス・トロンボーンがカウンターメロディーをつける。最後は二人のデュエット・ハーモニーで締めくくるという豪華版であった。

次の「Softly As In A Morning Sunrise」ではアップテンポに切り替えて乗りの良いラテンナンバーを聞かせる。会場の手拍子とともにチャリートのボーカル、そしてアルト・サックスが冴えたソロを聴かせ、ベースが妙技を見せる。パーカッション、ドラムスとソロを回し、ひとしきりリフを取った後でホーンを合図にボーカルパートへともどすが、その後のトランペットとサックスの掛け合いは見事なものだった。

最後はこれもまた会場の手拍子と共にスティーヴィー・ワンダーの名曲「Sir Duke」がファンキーに繰り広げられる。チャリートの力強さと繊細さを併せ持った声がこういった曲では艶っぽく響き、実に上質なエンディングを飾ってくれた。

Musicians:
チャリート (vo)、大石 学 (p)、井上 陽介 (b)、原 朋直 (tp)、藤陵 雅裕 (sax)、ピルリート (perc)、セシル・モンロー (ds)

Guest: Ivan Lins(vo)

<Set List>

M-1 Come Fly
M-2 How High The Moon
M-3 So In Love
M-4 He Walks This Earth
M-5 Acaso (duet with Ivan)
M-6 Softly As In A Morning Sunrise
M-7 Sir Duke

- Night Time -
Herbie Hancock's Headhunters '05


マニャンゴ・ジャクソンのワインボトルを拭きながらのボーカル・パフォーマンスで幕を開ける2005年版のヘッドハンターズ。ステージ中央には、最近ハービー・ハンコックが好んで弾いているピアノ「Fazioli」が置かれている。ベースとドラムスがへヴィーなリズムを刻みだすとヘッドハンターズのステージの始まりである。ハービー・ハンコックのエレクトリック・ピアノがリフをリードし、全員が加わる。まずはウォーミング・アップといった趣の「Watermelon Man」なのだが、しかし既にステージの熱が会場を包み始めているのはさすがである。

続いての「Spider」はワー・ワー・ワトソンのギター・リフでリードし、リオーネル・ルエケのパーカッションの様なギターとコーラス・エフェクトをかけたボーカルによるソロがフィーチャーされる。この人にかかるとギターは弦のついたパーカッションであるかのようだ。そしてルエケのリフに乗って全員が入り、ロイ・ハーグローヴのトランペットのリード・メロディーに沿ってファンク・リズムが炸裂する。トランペットのソロは熱気を増してゆき、それに呼応したバンドがタイトなリズムをキープしたまま音の厚みを増してゆくのはスリリングである。その後ジャクソンのパーカッション・ソロとアコースティック・ピアノ。ソロが続くがこれは圧巻であった。彼をしてファンク・ピアノの帝王と言わずして何と言おうか。

メンバー紹介に続いてヘッドハンターズのニュー・アルバムに収録されるサンタナの曲「Safiatou」が披露された。リードはルエケだが、ここでの彼のギターはまさにサンタナを思わせるファズトーン・ギターである。ピアノ・ソロは不協和音とも取られかねない複雑な和声を使ったモダンジャズ進行である。ラテン・ロックとモダンジャズとのミクスチャーとしての面白さである。

次の「Butterfly」はエレクトリック・ピアノのリフでミステリアスに始まる。マーカス・ミラーはバス・クラリネットを、ハーグローヴはフリューゲル・ホルンをユニゾンで奏でる。やがてミラーはベースに持ち替え、ハーグローヴのソロとなる。バンドの音はパーカッションやワトソンのエフェクト的なギターを加えて厚みを増してゆく。スローなテンポながらスリリングな演奏はさすがベテランである。ハンコックのソロは現代音楽的な不協和音を交えながらのテクニカルなもので、曲に強烈な個性を与えている。

続いての曲「Actual Proof」はテリー・リン・キャリントンの短いながらも巧みな技を聞かせるドラムソロをブリッジにしてメドレー形式で導入する。これは8ビートのフュージョンナンバーだ。ハンコックのピアノ・ソロはいかにも彼らしい様々な音楽要素を混ぜ込んでしかもスピード感あふれる好演である。続くはーグローヴのソロは「炎の男」とハンコックが呼ぶにふさわしい、まさに火の着いたような熱いソロだ。ルエケのギターはエフェクトをかけてミュート・トランペットのような音で長いフレーズを弾き連ねてゆく。これも秀逸である。

ワトソンの実験的なギター・サウンドが次の曲「Hang Up Your Hang Ups」を導入すると会場は大きな声援に沸く。キャリントンのドラムスとミラーのスラップ・ベースがこれでもかとばかりに強大なファンク・グルーヴを繰り広げ、ハンコックは立ち上がってショルダーキーボードで応じると、今度はハーグローヴとの掛け合いとなる。これぞジャズの醍醐味と言うべき白熱したソロの応酬に二人のギタリストがサウンド・エフェクトを入れてくる。ステージの興奮が頂点に達したかと思うと、ハンコックがピアノに向かいクールなフレーズを弾き出す。ただしリズムは熱いファンクのままだ。そこから再びステージは白熱し、昇りつめたところで一気にエンディングという潔さがまた格好良いのであった。



Musicians:
ハービー・ハンコック (p)、テリー・リン・キャリントン (ds)、ロイ・ハーグローヴ (tp)、マニャンゴ・ジャクソン (perc)、リオーネル・ルエケ (g/vo)、マーカス・ミラー (b)、ワー・ワー・ワトソン(g)

<Set List>
M-1 Watermelon Man
M-2 Spider
M-3 Safiatu
M-4 Butterfly
M-5 Actual Proof
M-6 Hang Up Your Hang Ups


- Night Time -
SUPER UNIT〜Latin Lounge〜

さてスーパー・ユニットがマーカス・ミラーのベースリフで幕を開ける。ヘッドハンターズを基本にニルス・ペッター・モルヴェル、イヴァン・リンスとレオナルド・アムエド、チャリート、ピルリート、セシル・モンロー、それに上妻を加えた編成である。まずは全員の息合せといった感じのジャムだが、ハーグローヴにモルヴェルが絡むところなど、なかなか他では聞けない瞬間である。上妻の三味線が大きくフィーチャーされると会場から完成が沸き起こる。ステージ中央に立つチャリートのスキャット・ボーカルに続いてモルヴェルの中近東風なトランペットがフィーチャーされ、そこへハーグローヴがハーモニーを重ねてゆく。次はパーカッション・パートとなり、3人のパーカッショニストとドラムスのリズムアンサンブルが繰り広げられる。そして最後はハーグローヴのリードで全員がリフを決めてハンコックのキューでエンディングとなった。


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Report by Tatsuro Ueda, Asako Matsuzaka(Support)
Photography by Asako Matsuzaka

Edit & Design by Asako Matsuzaka
Special Thanks to Tokyo Jazz 2005, TEAM



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