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LIVE REPORT

ジャズギター三昧 Vol. U

トップギタリスト4人の聴き応えたっぷり、バラエティに富んだライブ !

24th April 2002 at Blues Alley Japan(http://www.bluesalley.co.jp/


Member: 三好"3吉"功郎(G)、天野清継(G)、布川俊樹(G)、矢堀孝一(G)、石川雅春(D)、菰淵樹一郎(B)

三好 "3吉" 功郎オフィシャルサイト:
http://sankichi.m78.com/
天野清継オフィシャルサイト:
http://www.motriz.net/
布川俊樹オフィシャルサイト:
http://ux01.so-net.ne.jp/~n-valis/
矢堀孝一オフィシャルサイト:
http://www.uprize.jp/yabori/

* ギタリストのみなさんからコメントはこちらをご覧ください



この日のホストは三好"3吉"功郎。三好が企画、ブルースアレイジャパン主催で実現したライブでその名も「ジャズギター三昧」。とにかく出演者の名前を見ただけで、「間違いなく充実した演奏が聴ける」と期待していた。

ファーストセット、三好、矢堀がフロントに立っての「Stella by starlight」でスタート。シックな雰囲気のなかで2人の自在なギターワークを楽しむ。三好は柔らかく丸みのある音色で、心地よい余韻を残しながら流れるような自然なラインを奏でる。対照的に矢堀は繊細さと鋭さをかね揃えた音色で複雑なパッセージを重ねていく。菰淵樹はベースをギターのようにあやつり、時おりコードカッティングを織り交ぜながらのテクニカルなソロを披露。ラストの三好&矢堀の掛け合いは聴き応えたっぷり。

2曲目はなんと「太陽にほえろ」から「追跡シーン」。今度は選手交替で布川&矢堀がステージに。「Gパンと殿下が犯人を追い詰めそうになって逃がすストーリー」とのことだったが、まさにその情景が目に浮かぶ演奏で、なんとも懐かしく楽しめた。もちろん2人のプレイも見事で、矢堀がテクニカルなフレーズを連発すれば、布川は柔らかなタッチでJAZZフィーリングあふれるフレーズを次々と繰り出した。

「太陽にほえろ」に続いては、布川&天野コンビで「Hampty Dampty」。石川が事も無げに爽快な4ビートをテンポよく叩き出す。そのビートに乗って流れるテーマメロディを追っているだけでも飽きない。そしてここでも布川のギターは冴えを見せる。終盤、全員での(込み入った)テーマメロのユニゾン演奏は「素晴らしい」の一言に尽きる。

スタートから3曲、4人のギタリストが思う存分弾き倒した後は、三好&天野のアコースティックギターデュオ「Mimoza」。ほっとするような安らいだ空気に変わり、三好が柔らかな音色で哀愁漂うメロディーを奏でる。そして天野のアコースティックギターは絶品。キレのある音抜けのよい音で、星くずが流れ落ちるように、煌くパッセージを繰り出した。

ファーストセット、ラストは全員でノリのよいビートに乗って「StepsのBlues」(タイトル不明)。4人がズラリと並んだステージは、とても豪華!プレイももちろん、4人が思い思いに弾きまくる、大バトル大会、賑やかなステージとなった。

三好"3吉"功郎(G) 天野清継(G)
布川俊樹(G) 矢堀孝一(G)

 

セカンドセットもバラエティに富んでいた。まずは2組の趣向の違ったDUO演奏でスタート。最初は三好&布川のジャズギターデュオで「No Greater Love」。2本のギターが織り成す軽妙で多彩なジャズフィーリングあふれるプレイを楽しんだ。

そして2曲目は矢堀&天野のロックギターデュオ。これは三好が後で「企画者冥利に尽きる演奏」と絶賛したほど素晴らしかった。曲目はハービー・ハンコックの「Tell Me Bedtime Story」。これをイントロからディストーション&リバーブを効かせてアーム合戦!スペイシー不思議な空間が生まれた。天野の鋭いカッティングに矢堀のテクニカルなパッセージと、全編ロックテイスト溢れるアレンジで「ロックギターのカッコよさを見せつける」ような演奏を満喫した。

3曲目はギタリスト4人のみがステージに上がっての「Blues」。"4人4様"、"思い思いのBlues"を存分に弾きまくるという趣向。柔らかく丸みのある音色で流れるようなラインを紡ぐ三好(三好は雰囲気たっぷりに口笛とGメロのユニゾンプレイも披露)。コミカルなフレーズを聴かせながらキレのよいプレイの天野、次々と繊細なパッセージを繰り出す布川。プレイが進むにつれ、より複雑なパッセージを発展させていく矢堀。ファーストセットから曲が進むにつれ、4人のギタリストの個性、音色やフレーズ感の違いがよりくっきりと聴こえてくるようだ。

ギタリスト4人に石川、菰淵樹が加わって「Miles In The Wave」。アップテンポの激しいリズム。全員揃って迫力たっぷりにメロディーを弾きまくるのは壮観。布川が凄まじい勢いで弾きまくれば、天野がロングトーンを効果的に響かせて摩訶不思議なソロをプレイ。ここで石川のドラムソロが炸裂。ポーカーフフェイスで物凄いプレイを連発。この人は底知れないドラマーだ。

石川雅春(D) 菰淵樹一郎(B)


この日のラストナンバーは「Confirmation」。軽いタッチの4ビートと4人のギターワークを堪能。そしてこの曲では菰淵樹がスキャットも披露し、店内は和気あいあい、楽しい雰囲気となった。アンコールの「Union Pacific」も明るく軽快なテンポで、最後まで全員、思う存分弾きたおした。

今回で2回目となった「ジャズギター三昧」、同じメンバーで"Vol. V"も予定しているとのこと。プレイするメンバーと曲によってステージの雰囲気は次々と変わっていく。ジャズ、ロック・・・ジャンルを問わず、"ギターをたっぷり楽しみたい人"には、おすすめのライブだ。

---- SET LIST --

1st set
1. Stella by starlight
2. 太陽にほえろ
3. Hampty Dampty
4. Mimoza
5. StepsのBlues(タイトル不明)

2nd set
1.
No Greater Love
2.
Tell Me Bedtime Story
3.
Blues
4. Miles In The Wave
5. Confirmation

Enc. Union Pacific


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ライブ終了後、4人のギタリストのみなさんからコメントをいただきました!

三好 "3吉" 功郎
「ジャズギター三昧」は、2回目なんです。ブルースアレイの高橋さんに「何かやりませんか?」と言われたのが発端なんですが、はじめ考えていた企画が流れちゃったんです。「どうしよう」って思ったときに、まるで"神の啓示"のように突然、布川君と矢堀君、天野君の顔が浮かんできて、「そういえばギター同士って全然一緒にやらない」「たまにはこうやって、久しぶりに会うのもいいかな」「みんな素晴らしいギタリストだし、全員集めたらどうなるんだろう」と・・・これはギタリスト2人でも成立するライブなんですが、「4人が集まったらどうなっちゃうんだろう」っていう興味から電話してみたら、全員、スケジュールが空いていて、で舞い上がっちゃって、ドラムとべースを決めるの忘れちゃったんですけど(笑)。
(メインギター使用:Valley Arts Custum Pro Stratcaster Type、Takamine Gatt Guitar)

今回は前回がすごく好評だったので、Vol. Uをやったんです。前回よりもさらにみんなリラックスして、前回は初めてだったので、お互いに"相手をうかがいながら"というところがあったんですけど、今日はみんなかなりくだけて、自分の道を行ってたんじゃないかな(笑)。それぞれのカラーが出ていて面白かったんじゃないかと思うんです。ひとつだけ言えるのは、みんなアホだということ(笑)、間違いなくアホだと(笑)・・・それが一番出ていたのは「Tell Me Bedtime Story」(笑)・・・(少し離れたところで矢堀さん「ああいう風に弾いてみたかった・・・」)・・いや、やるよね!凄い!もう、聴けません、あんな演奏は!

同じジャズギターでも、このぐらい違うんだよ、っていうのを、聴いてもらいたいというのがあって、わざと"ジャズギター"という括りをつけたんです。本当はジャンルはどうでもいいんですよ。ただ"ジャズギタリスト"という括りの中で、「自由な感じ」「自由に弾こう」という「自由な人たち」の"集まり"という意味で"ジャズギター"と言っていているんです。

布川俊樹
「勉強」もあり、「最高に遊ぶ」もあり、それでも結構緊張する、サウンド的に近しいところもあるんだけど、また全然違うところもあり、"馴染む4人"ではないか、と思います。(メイン使用ギター:アーガス Semi Acoustic、Gibson ES-175/'70)

矢堀孝一
今度は千人規模で企画して、リハーサルやってみて立ち上げちゃう!
(メイン使用ギター:Deviser Custum Model 矢堀2號機/'99)

天野清継
本当に4人がギターを弾きまくると収集がつかない、こんだけ一人一人個性がはっきりした人たちが4人集まると・・・ソロを取り始めたら、その人のカラーになってしまうところが面白い、ただそれでデュオになるとまた違った世界が、人それぞれに全然違う世界があって、こういうのは、たまにやりたいですね。ギタリスト同士、あまりやることがないから、こういう機会をまた多くもって、ギターを、ジャズ&フュージョンギターを盛り上げていきたいと思っています。今度、ギタークリニックとか、いろんなジャンルのギタリスト同士とか、いろいろと企画できればいいな、と思っています。
(メイン使用ギター:Ovation Classic Deep Bawl、Hill Curve De Negra 、Ovation 2002 Collector Series) 

Report & Photos by A.Matsuzaka


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