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コラム:KEEP



筆者もKEEP を知ったのは1994年の再活動の時期。初めて聴いた時の衝撃と感動は言葉では言い表せないが、深い感動とともに、ものすごい音の渦に飲み込まれていったのを覚えている。特に自身の好むサウンドであった(というか演奏家のはしくれとして目指していた理想形)ことも大きかったが、多少の好みの差はあれ、正に強い意志のもと展開される強力なアンサンブル、その圧倒的な演奏の前には「すごい」の一言しかなかったように思う。

KEEPはプログレフュージョンの雄であり、荒々しいまでのロックサウンドを展開するのだが、クラシックに造詣が深い深町氏が作曲者であることから、とても繊細でクラシカルな面も持ち合わせている。よく「クラシックとロックの融合」と言い、様々な形態、形式の音楽が発表されているが、筆者はKEEPこそ「究極のクラシックとロックの融合」だと思う。無理に作りこんだり、リズムアレンジをするのではなく、クラシカルな感性を持つアーティストがロックのビートやサウンドと出会い、そこから生まれる楽曲こそがナチュラルに融合されたものではないかと。

本当に残念なことに深町純氏は亡くなられてしまい、今、オリジナルメンバーでの演奏を聴くことはできない。深町氏の命日にあたる11月22日に、深町氏の店であった(現在はご家族が経営) FJ's cafe & live spot でトリビュート Liveが行わわれており、そこでKEEPの楽曲を聴くことができる。またKEEPの中心的存在であった和田アキラ氏のバンドPRISMやセッションライブなどでも演奏されている。

深町氏はそのエレピサウンド自体にも独特の響きがあり、憂いを含んだような不思議な透明感のあるサウンドが印象的だった。FJ's cafe & live spot には深町氏、愛用のYAMAHAのCP-30が今も置かれており、今でもKEEPの楽曲を奏で続けている。

渡部チェル(Key) 左より、岡田治郎(B)、榎本吉高(Ds)、和田アキラ(G)
2016年11月22日、「KEEP Legend 深町純 トリビュート Live 2016」にて


文章:Asako Matsuzaka
撮影:Shiro Fukushima


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